マグロ包丁って日本刀みたいでかっこいいですよね。
少し前になりますが、築地でマグロ包丁を振り回した男が取り押さえられたニュースを見て以来、ずっと気になっていました。
マグロ解体ショーなどでは意識したことがなかったため、こんなに長い包丁が普通に使われているのだと驚いたと同時に、正しくない使い方をする悪人のせいでマグロ包丁そのものが恐ろしいものとも思えてしまいます。
写真では、まるで武器のように、まさしく日本刀のように見えてしまいます。
「マグロ包丁は本当に日本刀と似ているのか?」
気になってしまったらこの目、この手で確かめるしかありません。
中古ですが相当良いものを購入してしまいました。
正本総本家の本霞、刃渡り600mmの品です。定価はなんと40万円超!!!
業務用とはいえ恐ろしい価格…
で、現物がこちらです!比較用においてあるのは単3電池です。単4じゃないですよ!!
かなりサビが出ていますが、その分研ぐのが楽しみです。
和包丁の霞は日本刀の刃文とは構造が異なり、刃取りをせずに出せそうなのでぜひ挑戦してみます。
(日本刀の刃文は、同じ材質の鋼が違う組成に変化して発生しています。つまり目視は困難で、一般的に日本刀に見られる刃文は刃取りを行った描き刃文です。その点、和包丁の霞は材質そのものが異なるため、刃文を出しやすいと踏んでいます)
元幅は38mmもあります。
日本刀に比べても十分に豪壮です。
また、元重ねは6mmで、このあたりの長さの日本刀と比べるとやや薄いですが、十分な迫力があります。
この切っ先です。この切っ先が日本刀っぽさを出してるんでしょうね~。
ここだけみると直刀の小切先に見えてきます。
重量はハンドルを含めて710gです。先幅、先重ねが薄いため軽くなっていると思います。
では、マグロ切を買ったからにはマグロを切ってみましょう!!!
残念ながらスーパーにはマグロ一匹は売っていなかったのでマグロのサクです…
よく切れますよ!!さすがは正本総本家!つ、使いづらくなんてありませんから!!!
さて、刃渡り60cmの刃物を振り回したりマグロを切ったりして私の疑問ははっきりとしました。
これは日本刀とはまったく似ていません。
おそらく、この包丁で人を斬ったりすることは容易にできるでしょう。でもそうではなく、これはただの包丁だという確信が持てました。
ただ長いだけの、大きい生物を切るための包丁であり、武器ではないのです。
私はまだ数振りしか日本刀をこの手に持っていませんが、すべての日本刀は、短刀や脇差などの短い刃でも、それ自身が『人を斬ってやる』という確固たる信念を持っている物体だと私は思っています。20cmの短刀でさえ、その切っ先にはするどい恐怖を感じます。
このマグロ包丁は、それ自身が『マグロを美味しく食べるために解体しよう!』という信念を持っていると感じるのです。
60cmという恐ろしい長さの刃物を振り回しているのに、全くなんの恐怖も感じないのです。完全に、いつも毎日使っている包丁が少し長くなっただけ、としか認識しません。つまり全く怖くないのです。
妻も同意見で、本来は怖いはずのこの巨大な刃物が怖くない理由として、なんとなく折れそうだから?と解釈していました。
しかし、これだけ十分な重ねを持った刃物がやすやすと折れるイメージは全くわきません。
ここまで文章を書いて、もう一度写真と現物を見比べてみてもやはり人を斬れる刃物なのは間違いありません。
なのに全く恐怖心を感じない。
つまるところ、全ての道具は「なんのために作られた道具なのか」、それによって周囲の認識が変わるのだと私には思えます。
もちろん、包丁職人が魂をこめて打ち、職人が誇りを持って使ったであろうこの包丁を粗末にするつもりは毛頭ありません。
今後全力をもってすばらしく研ぎ上げ、この包丁にふさわしい食材を切ってみせます。
今はほんの少し砥石をあてただけですが、それだけでこの輝きようです。
反射で見づらいですが、刃文も見て取れます。
私には、この包丁が「俺を研ぎ上げてくれ!」「俺に見合う食材を切らせてくれ!」
そう言っているとしか思えません。
写真を見てもらうとわかると思いますが、いちおう家庭の厨房でも使えないことはないですよ。大きい魚をさばく人は買っても良いんじゃないでしょうか?
私は魚なんてさばけないけど買ってしまいましたよ。

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