KSCのSTI Edgeがやってきました。
現行のKSC STIはシステム7ですが、その前にはレースメカverがあり、さらに前にあった初期のモデルがこのリアルメカverだそうです。レースメカバージョンとリアルメカバージョンは外観ではマガジンが違うので区別できます。リアルメカバージョンはマガジンがシルバーですが、レースメカバージョン以降マガジンが黒くなっています。
1999年のカタログがついていましたのでその近辺の製品なんですね。
22年前のカタログがこれだけしっかりしてるとちょっとうれしくなっちゃいます。見てるだけでワクワクしてしまいますね。
さて、今回のSTI Edgeの状態は、マガジンからのガス漏れはないが、ガスを注入してトリガーを引くとガスがすべて吹き出してしまうものです。
早速分解していってみます。パーツリストは994ST3です。
まずはフィールドストリッピングです。
スライドを少し引き、切り欠きからスライドストップを抜き取ります。
スライドストップを抜き取れたらスライドを前方にスライドして取り外します。
続いてリコイルスプリングユニットを取り外します。
ガイドロッドの穴に針金などを入れ、ガイドロッドが飛び出た状態にします。
説明書ではクリップを利用していますが、ガイドロッドの穴に入ればワイヤーでもなんでもいいと思います。私は手元にあったのでビニル導線を使用しています。
アウターバレルを前方にスライドして抜き取ります。
ここまでで通常分解ですね。
フレーム側には特に問題はないと思いますので、スライドの分解を進めていきます。
チャンバーが少し汚れているので、分解してシリコンスプレーをかけながら掃除しておきました。
チャンバー周りのラバーにはひび割れなどはありませんでした。
右の方の円筒上の部品はチャンバーラバーを押す部品(ホップアップピース)です。
スライドからブリーチ部を取り外します。
リアサイトのエレベーションスクリューを外してリアサイトを引き上げます。
崩壊したピストンの破片がこんなところに入り込んでいますね…
リアサイトを持ち上げるスプリングがあります。
リアサイト上部(ボマーリアサイドベース)を止めているピンを抜き、リアサイトを取り外します。
このときエレベーションスクリューのクリック感のためのスプリングとピン(リアサイトディテントスプリング、ピン)を紛失しないようにしましょう。
プラスネジを外したら、リアサイトマウントを横にスライドして取り外します。
スライドの分解とはちょっと話が反れますが、写真でわかる通りリアサイトにはピストンカップの破片が大量に付着しています。
作動時の動画でもわかるように、スライドが動作せずに生ガスを吹く場合、このリアサイトからガスが抜けていくのでしょう。
そのためピストンの破片と、内部に塗布してあったであろうグリスなどが生ガスとミックスされて吹き出し、リアサイトに付着してしまって時間が経っているようで、リアサイトにまだらな退色がありました。
ついでなので塗装しておくことにしました。
まずは前述の通り油脂が付着していますので、パーツクリーナーで念入りに脱脂します。
そしてファインスプレーブラッセンで塗装します。
ファインスプレーブラッセンは私が一番好きな塗料です。
この時期(2021年7月)に金属パーツを塗装すると最高ですね。
対象物も気温も高いので、乾燥が極めて早くムラ、液だれが起こりません。(ファインスプレーブラッセンはもともと液ダレしにくい塗料ですが)
シュッと一吹きした瞬間にもう最高のつや消し塗装面が出来ています。
まだらだった表面が一瞬で新品以上の質感に変わる…快感ですね!
光沢塗料などを使う場合は真夏は乾燥が早すぎて困るかもしれませんが、私はつや消しばかりなので気温は高めがいいです。
他のパーツは特に退色などはなさそうなので、分解を進めていきます。
スライド後部のボルト(ARSブリーチスクリューB)を六角レンチで取り外します。
これでスライドを軽く広げながら、リアサイトがあった場所から指で押してやったり少しずつずらしていけばブリーチ部が取り外せます。
ブリーチ部が取り外せました。
リターンスプリングを外し、テトリスみたいなちっちゃい部品(リターンプレートL、R)を外すとノズル、シリンダーが分解できます。
分解前はパーツNo.42 ピストンカップのみかと思っていたのですが、No.96 ノズルシールドも崩壊していますね。
現在、旧型のSTI用のピストンカップは生産終了しており、KSCは公式にGシリーズ向けのピストンカップを使用するようにアナウンスしています。
そのためあらかじめAmazonでGシリーズ向けのピストンカップを買っていたんですよね。
しかし、ノズルシールドは公式の部品注文でしか手に入らないと思います。
代替品を探すにも崩壊してしまっていて元の形がわかりませんし…
1点だけ頼むのは残念ですがKSCに部品注文することにしました。
まずは在庫の問い合わせをしてから注文します。
幸いにもノズルシールドの在庫はありましたが、残念ながらこのフォームで注文する際は軽量発送も使用できないんですね…
【 No1:製品名/パーツNo/パーツ名 】 STI EDGE リアルメカバージョン NO.96 ノ
ズルシールド
【 No1:数量 】 1
【 No1:金額 】 165
合計 165円
送料(1万円未満の場合) 935円
お振込総額 1,100円
165円の部品を頼むのに1100円+振込手数料…ついでに頼むパーツも今は特に思いつかないし…ええいままよ、と注文しました。
振り込みから2日で到着しました。スピード感があります。
こちらが1100円で手に入れたノズルシールドです。
ただのOリングではなく切り欠きが入っているので、他のパーツで代用は困難でしょうね。
22年前の製品の、とっくに製造終了した製品のこんなちっぽけな部品を製造しつづけてくれて…
在庫を置いておいてくれて、かつ問い合わせにも即日対応してくれて…
たった1つの部品でも注文したら2日で届けてくれる…
信じられないほどすばらしいサービスだと思います。
でも!でも送料だけは!もう少しだけなんとかならないのかと…
部品の維持保管、管理などの費用や人件費手間賃もかかるのもわかります!それでもマルイみたいに定形外対応してくれたらすごくいいのに…と思ってしまいます。
何台かまとめてオーバーホールして、部品をまとめて頼むときとかにはすごく使いやすいサービスだと思うんですけどね。
さて、気を取り直して修理の続きです。
私が開けたときにはすでに崩壊していたのでここには何もなかったのですが、シリンダーにノズルシールドを取り付ける突起があります。
ここにノズルシールドをはめ込んでやります。
同じく崩壊していたピストンカップですが、Gシリーズ用ピストンカップはピストンエンドに取り付ける部分の穴が少し大きいので接着してやります。
これもKSC推奨の使い方です。
KSCは特に接着剤は何を使ったほうがいいよ、とは指定していませんが、私は衝撃が加わる部分なのでエポキシ系接着剤を使っています。
今回はボンドEセットを使用しました。
対象が金属×ゴムですし、例えば木工用ボンドは論外、ボンド G17のようなネバネバ系接着剤もあまり適さないのではないかな、と思います。
硬化後に硬度があってゴムにも効く、やはりエポキシ系かなと思います。
ノズルシールドも取り付け、ピストンカップの接着も終わったため、逆の手順で組み立てていきます。
可動パーツにはシリコンスプレーを吹き付けながら組み立てていきます。
こちらの個体はかなり初期型に近い個体だと思いますが、これより少し新しいと思われるSTI Eagle 6.0(リアルメカver)はリターンスプリングはノズルフックに接着されていました。
この個体はもともと接着されていませんでしたが、そのまま組み上げたところ組み上げ後にリターンスプリングが外れてしまったことがあったため、接着したほうがいいようです。私はエポキシ系接着剤で接着しました。
ブリーチ部を組み立て、ブリーチスクリューを取り付けたらノズルが軽い力でスルスルと前後に動くか確認します。
動きが悪い場合はゴミが入っていたり、潤滑油が不足していたり、ブリーチスクリューの締め付けすぎが考えられます。
こんな感じでスルスル動くことを確認してください。
組み立てで苦労したのはリアサイトですね。
下図の写真だとリアサイトベースピンとリアサイトディテントスプリングが入っていますが、こうするとリアサイトディテントピンが入らない…
かといってリアサイトディテントピンとリアサイトディテントスプリングを先に入れるとリアサイトベースピンが穴から出てきてしまって入らない…
こちらはリアサイトベースピンが入らない様子。
最終的にリアサイトディテントスプリング・リアサイトディテントピンを入れた状態で、ドライバーリアサイトディテントスプリングを穴に押し込み、リアサイトベースピンを差し込んですかさずドライバーを抜く、という方法で組み立てできました。
ほかは特に組み立てで迷う部分はありませんでしたね。
組み立て後、動作確認して問題ありませんでした。部品取り寄せも含めてけっこう時間がかかったのでやり遂げたという感がありますね。
動作確認動画はこちらです。
今回もけっこう細かい部品を外したり組んだりしましたが、思ったのはよく使う工具類はけっこういいやつがあってもいいな、ということですね。
ドライバーセットはXiomiのものを愛用しています。とてもおすすめですよ。
ピンポンチもちょっといいやつに買い替えてもいいな、と思っています。
模型が主なので、マイクロポンチになるのかな…?