最近、地震など災害が多い気がします。
私は東海地方に住んでいるので、東海・東南海地震のリスクについては日々意識しています。
災害時の連絡手段として、緊急時には携帯電話のネットワークが輻輳するなどして、携帯電話が不通になることもありえるだろう、と思い、災害時の備えとしてトランシーバーを購入することにしました。
私はアマチュア無線の免許を持っていませんので、免許不要、ライセンフリーのもので検討しました。
トランシーバーの種類
免許不要のトランシーバーとしては、代表的なものとして特定小電力トランシーバーがあるのですが、
特定小電力無線局は10mWまでの出力に限られ、同じ建物の1~2フロアや、見通し数百mでの通話ができる程度の、簡易な無線です。
同じ公園内で連絡を取ったり、子どもと遊ぶぶんにはいいのですが、非常時の連絡手段としては心もとないです。
そのため私はデジタル簡易無線を購入することにしました。
デジタル簡易無線とは?
デジタル簡易無線は、電波の出力の上限が5Wとなっており、おおむね約1~5kmの通信が可能です。2023年現在、業務用を含めて、一番普通のトランシーバーでしょう。
アマチュア無線を業務用には使うことはできませんし(アマチュア無線ですから)、アナログの簡易無線が2024年で停波になるので、特小ではカバーできない業務やレジャーでは、デジタル簡易無線を使うことになるでしょう。
総務省 電波利用ホームページ|その他|簡易無線局のデジタル化について
デジタル簡易無線は登録局と免許局がありますが、私はより手続きが容易な登録局を選択しました。
私が購入したトランシーバー
今回、私がトランシーバーを購入するにあたって条件としたのは以下の点です。
・家庭用として使える
・入手しやすい
・アフターサービスがある
・アフターパーツが手に入る
上記の条件で、実は2台×2機種、合計4台購入しました。
まずは、
FRCのFC-D301です。
こちらの機種はYoutubeなどでもよく紹介されているようで、デジタル簡易無線の5W機のなかで最安ですね。
こちらの機種は人気があるようなので、アフターパーツなども手に入りやすそうで選択しました。
また、もう1機種はSTANDARD、八重洲無線のSR510を購入しました。
こちらの機種は、子どもとトランシーバーで連絡を取りたいと思ったので、FC-D301は5W機なので子どもには重く、大きいかなと思い1W機並のコンパクトさと評判のSR510を購入してみました。
八重洲無線のSR510は、モトローラのGDR4200と部品の互換性があるので、こちらもアフターパーツなど手に入りやすそうだと思い購入しました。
デジタル簡易無線 登録局・包括申請 (電子申請)
さて、前置きが長くなってしまいましたが、デジタル簡易無線の登録局申請を包括申請で行います。
「デジタル簡易無線 電子申請」 などでググると結構出てくるのですが、実際にやってみるとちょっと違うところもありましたので、私の場合はこうだったというものを残しておきます。
用意するもの
マイナンバーカード
まず、電子申請時に署名をするために、マイナンバーカードが必要です。
ICカードリーダー
そして、マイナンバーカードを読み取るICカードリーダーが必要です。
私はお安く購入したこういうやつを使用しています。
マイナンバーカードのICカードは、国際規格のスマートカードなのでICカードリーダーは海外製の安いやつでぜんぜん大丈夫です。
JPKI利用者登録ソフト
マイナンバーカード内の電子証明書を、各種サービスで使用するために必要なソフトです。以下のリンクからダウンロードしてインストールしてください。
総務省電子申請「電子申請・届出アプリケーション」
総務省の提供する、電子申請用アプリケーションです。
以下のリンクからダウンロードしてインストールしてください。
オンライン版とオフライン版とがありますが、通常の使用ではオンライン版をインストールすれば問題ありません。
申請の流れ
ここまでで、ICカードリーダーと申請に必要なソフトの用意ができたと思います。ここから実際の申請に入っていきますが、流れは以下のようになります。
①総務省 電波利用 電子申請・届出システム(以下届出システム)にユーザー登録する
②届出システムで電子申請書を作成する
③マイナンバーカードで署名して提出する
④登録証を受け取る(郵送で受け取る)
となります。
実際に申請してみる
ユーザー登録
それでは、実際に申請していきます。
先程インストールした届出システムを起動します。
ユーザ管理→新規ユーザ登録を選択します
法人、個人は個人を選択し、申請者情報を入力します。
今回ははじめての申請なので、無線局情報入力支援機能は希望しないを選択しました。
入力したら、次ページをクリックします。
確認後、入力完了をクリックします。
すると、ユーザ登録データを送信するための署名画面が出てきます。
ICカードリーダーにマイナンバーカードがセットされていることを確認して「署名」をクリックします。
「ICカードを使用」「個人番号カード」でマイナンバーカードで署名することができます。
「送信」をクリックすると、マイナンバーカードの署名用パスワードの入力を求められるので入力します。
署名用パスワードを入力して送信すればユーザー登録完了です。
登録したメールアドレスに登録完了の通知が届きます。
ここで、ユーザー登録ができましたが、ログインとシステム利用に必要なIDとパスワードは自動的に付与され、IDとパスワードを確認する必要があります。(ややこしい…)
ID・パスワードの確認
届出システムのトップから、「ユーザ管理」→「ID・パスワード確認」と進みます。
ここでもマイナンバーカードを使って認証します。
この手順で届出システムを利用するためのIDとパスワードが確認できます。
このIDとパスワードで、今使っている届出システムと、総務省のWeb上で申請する電子申請システムのログインを行うので控えておきましょう。
(のちのち、このパスワードで総務省のWeb版の電子申請システムにログインするときにはまた変更を求められます。そのときまた控えておきましょう…)
無線局の包括登録申請書を新規作成
これでやっと申請を開始できます。
届出システムのトップから、「新規作成」をクリックしてください。
登録局申請、包括、宛先はお住まいの管轄の総合通信局を選んでください。
新設申請、デジタル簡易無線局を選択します。
申請者は個人、住所氏名を入力してください。
「電波法第27条の23第2項1号への該当の有無」という項目があります。これはわからなかったので調べてみました。
電波法第27条の23第2項1号は、電波法第五条第三項各号のいずれかに該当するときとなります。ややこしい。電波法第五条第三項も調べてみます。第二十七条の二十三 総務大臣は、第二十七条の二十一第一項の登録の申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。一 申請に係る無線設備の設置場所が第二十七条の二十一第一項の総務省令で定める区域以外であるとき。二 申請書又はその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。2 総務大臣は、第二十七条の二十一第一項の登録の申請が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否することができる。一 申請者が第五条第三項各号のいずれかに該当するとき。二 申請に係る無線局と使用する周波数を同じくするものについて第七十六条の二の二の規定により登録に係る無線局を開設することが禁止され、又は登録局の運用が制限されているとき。三 前二号に掲げるもののほか、申請に係る無線局の開設が周波数割当計画に適合しないときその他電波の適正な利用を阻害するおそれがあると認められるとき。
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、無線局の免許を与えない。3 次の各号のいずれかに該当する者には、無線局の免許を与えないことができる。一 この法律又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者二 第七十五条第一項又は第七十六条第四項(第四号を除く。)若しくは第五項(第五号を除く。)の規定により無線局の免許の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者三 第二十七条の十六第一項(第一号を除く。)又は第六項(第四号及び第五号を除く。)の規定により認定の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者四 第七十六条第六項(第三号を除く。)の規定により第二十七条の二十一第一項の登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
電波法五条は無線局の欠格事由ですね。
つまり、この申請画面の、「電波法第27条の23第2項1号への該当の有無」という項目は上記の各欠格事由に該当するか、というチェックですね。電波法を犯したり、無線局の取り消しをうけていないので無を選びます。
無線設備の移動範囲を選びます。
この操作画面にもなんだかクセがあって入力しづらいですね…
まず、「全総合通信局(全国)」をクリックすると、すべての総合通信局のエリアが入力されます。そして、その欄を一個ずつ開いて、備考に「陸上及び日本周辺海域」と入力しました。
ネットで出てくる申請例では、「陸上及び日本周辺海域及び上空」と申請されていますが、私が購入したFC-D301とSR510は上空バンドの送信に対応していないので、私は「陸上及び日本周辺海域」と入力しました。東海総合通信局の人にも確認して、それでいいと言われたのですがよくよく考えたら包括申請なので今後上空バンドに対応するトランシーバーを買ったときのために「上空」の記載を入れておくのが正解だったのかもしれません。無線局の周波数、出力を追加します。
型式を飛ばして、周波数を追加します。
デジタル簡易無線の周波数は、「351.2MHz~351.38125MHz、6.25kHz間隔」です。波数自動計算をクリックすると30波、30チャネルあることが計算されます。 私は前述した通り、FC-D301とSR510の2機種を使うので、上空バンドを使用しないのでこの30波で申請しました。お手持ちのデジタル簡易無線の仕様などをみて、間違いないか確認してOKを押します。
見込み開局数はだいたいでいいそうです。
入力完了するとマイナンバーカードを使用した送信画面になります。そのまま署名して送信してもいいですし、いったんファイルに保存してもいいでしょう。
ソフトウェアでの届出システムで、申請を送信した後はWebサイト上から申請状況を確認することになります。
こちらの3.照会・変更をクリックします
先程届出システムで確認したユーザIDとパスワードでログインします。初回ログイン時にはパスワードの再設定が求められます。
申請履歴照会をクリックします。
絞り込み画面が表示されますが、そのまま検索を押せば全て表示されるため、(1件しか申請していないので)そのまま表示できます。
この画面だとすでに状態が「審査終了」となっていますが、申請をした当初は「到達」となっています。ちなみに、私は前述したように予定期日と有効期間を間違ったので一度修正しているので補正して再提出しています。
申請手数料の払込
さて、ここまで手続きを行うと、総務省から申請手数料の納付のお知らせが届きます。
下記のようなメールが届いたら総務省の電子申請のWebページから納付の情報を確認しましょう。
総務省 電子申請・届出システムから、納付情報照会を押します。
絞り込まずに検索を押します。
私の画面では、すでに納付済みになっていますが、ここでPay-easyでの支払いに必要な納付番号、収納機関番号、確認番号が確認できますのでネットバンキングやATMで支払いましょう。
私の場合は、電話で東海総合通信局の方と話しましたが、完成した登録証は郵送で受け取るため、返送用封筒を総合通信局へ郵送するよう指示がありました。
私は角2型封筒に120円切手を貼って、私の住所氏名を書いたものを郵送しました。
さて、申請を完了し、申請料を支払ったらあとは審査が終了し、登録証が送られてくるのを待ちます。私は上記のように審査終了の段階で、登録証はまだ届いていません。
登録証が届いたら無線局を開設していきたいと思います。
無線局登録状が到着
6月8日に登録状が到着しました。5月25日に補正申請が完了しているので、それから2週間で登録状が受け取れました。
このように、上記のように申請を行っているので、上空を含まない登録状となりました。私は上空から電波を発射することは絶対に有り得ないからこれでいいんです。負け惜しみじゃありません。
ちなみに、もし上空バンド対応のトランシーバーを買ったらそのときに変更申請をすればいいとのことです。逆に言えば上空バンド対応のトランシーバーを買ったら変更申請をしないといけないということです。
包括申請をする方は、お手持ちのトランシーバーの機種がなにであっても、包括申請をするときは「全国の陸上及び日本周辺海域並びにそれらの上空」と書き、上空バンドも入れておいたほうがいいようです…
開設届を作成する
まあ、私が使う分には支障ないので、この登録状で開局していきます。
届出システムを起動し、新規作成をクリックします。
以下のように入力します。宛先はお住まいの総合通信局を選んでください。
前回、包括登録した際の個人情報が保存してあれば、申請者情報の入力ができます。保存してなければまた入力しましょう。
識別符号を入力する
識別符号は本体に書かれているCSM番号です。
SR510の説明書にも記載があります。
製造番号、技適番号も入力します。これも上記の説明書の写真を見ると対応がわかりやすいですね。
登録状の情報も入力し、2局開局します。
署名して送信する
届出システムからマイナンバーカードで署名して送信します。
お疲れ様でした。開局申請が完了しました。
総務省のWebの方の届出システムで照会すると、まず「到達」となります。私の場合はすでに「受付処理中」となっています。
これがしばらくすると「審査終了」となると思います。
私は包括申請なので、登録状ができた時点でデジタル簡易無線を使い始めることができ、かつ開局届も提出しているので、もうすでに電波を発射していいはずです!やったー!
まずはSR510のほうからちょこちょこ遊んでいこうと思っています。