長くなったので結論を先に書いておきますが、このエントリは適法なナイフやクボタン、タクティカルペン、スリングショットなどが税関で止まったときに役立つかもしれないものです。日本刀、真剣、真正銃やそれらの部品などのことは私はわかりません。
先日エントリにも書きましたが、ここ最近(2021年4月現在)オリンピック正式開催に向けて聖火リレーなども始まった影響か、税関での検査が厳しくなっています。
海外のショップもここ最近日本の税関の検査がやたら厳しいから日本からのオーダーは1~2ヶ月控えたほうがいいよと言っていました。
私が今回引っかかった荷物は適法なナイフですが、税関はオリンピックなどの大会に備えて警戒を重くしているのは手に持てる小型のものなどに気をつけているんじゃないかなあ、と思っています。
想像ですがエアガンなどの通関も厳しくなっているんじゃないかと思います。
さて、税関で荷物が引っかかるとこんなお手紙が届きます。
荷物の追跡ではこのように表示されます。
荷物の追跡で「通関手続き中」が2回以上表示されたら、開封検査されているか特別な検査が行われていると思っていいでしょう。
こうなってしまうと、もう荷物は届かないと諦めてしまう方もいますが、止まった理由にもよりますがきちんと照会すれば荷物を手に入れられる場合が多いです。
今回は「武器」という分類に当てはまって止まっていますので、武器を通関させる方法を書いていきます。(商売で輸入してる人は知りません。あくまで自分で使用するための個人輸入の人です)
武器とは?
日本では、武器、銃砲弾やそれらの部品を輸入しようとするときは経済産業大臣の承認を受けなければなりません。
ここでいう武器はスリングショット(ゴムパチンコ)、スタンガン、催涙スプレー、クロスボウ、特殊警棒、こん棒など様々な種類があります。それらを輸入するときは原則承認が必要なんですね。
逆に日本では「武器」という言葉で定義されるものでも承認を得れば輸入できるということになります。武装する自由はないのに「武器」を持つことは許されているというのは不思議に思います。
何が問題だった?
今回「武器」として引っかかったものはナイフで、指を通す穴があり、握って突き刺すような形をしているのでクボタン、税率表番号9304:その他の武器(例えば、スプリング銃、空気銃、ガス銃及びこん棒。)に該当するとしたのでしょう。
タクティカルペンなどがこの項目に該当して武器となり、ペンとして輸入できなくなったニュースが記憶に新しいかと思います。
どうやって輸入する?
さて、上の項目にはタクティカルペンが輸入できなくて困っていた業者がいた、と記述しましたが、個人と業者では話が違います。
今回は個人で使う適法な武器なので、個人特例という処置でかんたんな手順で輸入できます。
まず、通知の手紙にもある経済産業省 機械類等輸入審査班に品物が輸入承認の特例になるかの審査を依頼します。
このフォームに当たり前ですが正直に税関で止まっている品物の詳細を記入します。
私の場合ですとナイフ、名称〇〇〇〇、1本です。
フォームには商品の詳細がわかる情報を添付するように、と記載があるため、私は海外通販で購入したので商品説明画面を添付しました。
すると適法なナイフなのでこのように経済産業省から返事がきます。
後ろ向き太郎 様
ご照会のありました武器類の輸入(税関からの通知番号「〇〇〇〇」)につきまして、税関にも確認し、今回の貨物の「個人特例での通関」を了承いたします。
つきましては、横浜税関川崎外郵出張所(電話:044-270-5780)に電話していただき、通知番号及び氏名、担当審査官名をお伝えの上、通関手続きをご依頼下さい。
よろしくお願いいたします。
担当審査官名:〇〇
この「個人特例での通関」を使って武器を輸入するには一回の個数と、特定の期間での回数といずれかもしくは両方の制限があったような気がしますが…ちょっと探してもすぐには見つかりませんでした。
たしか1回に10個までとかだった気がしますが…忘れました。
まあ個人輸入なのであまり上限がいくつかとか関係ないですね。
税関からの通知の通り、この結果を税関に伝えます。メールでも電話でもいいです。
この時の税関の方の対応はあんまり感じいいわけじゃないんですよね…
税関の人からしてみたら「武器だ」と判断して差し止めたものを個人だから承認いりません~と通されるのは快いものではないんじゃないかなと個人的には思っています。
経済産業省からの通知をもらっただけでは自動的に通関されないので注意が必要です。
そして無事郵便局から発送され手元に届きます。
ちなみに今回の通知では価格照会も含まれていますが、こちらはメールで購入時の画面などを送れば問題ありません。(関税がかかるかどうかの確認です)
届いた現物を確認してみましたが、もちろん国内法に照らし合わせて適法なナイフでした。
刃物に限らず、国内ショップで売っていないからこそ個人輸入で取り寄せたりするんですが、国内ショップで売っていないのには理由があったりするんですよね。
このナイフも個人だから通ったものの、これを商売で輸入承認を得て売ろうとしたら人を突き刺すものじゃないか、とかダガーじゃないか、となって承認が降りないんでしょうね。
私はナイフは観賞用なので、なにかを突き刺したりはしませんが…
少し話は違いますが、今回のナイフは広義のプッシュナイフの一種に入るんじゃないか、と思っていますが少し前まで日本でもColdsteelのアーバンパルが普通に買えたんですが最近は取り扱っているショップが見当たらなくなってしまいました。
やはり上記のように突き刺すものじゃないか、という理由じゃないかと思います。アーバンパルは諸刃ではないのですが、左右対称の形をしていますからね。
国内で買えるうちに買っておけばよかったなあ…
同様な理由で諸刃でなくてもシルエットが左右対称のナイフは今後更になくなっていくかもしれません。